宇津賀地域

元気生活圏の現状

1.構成集落

集落数
12集落(うち小規模・高齢化集落数 1集落)
エリア設定の単位
旧小学校区
集落名
上津黄、東津黄、西津黄、東後畑、東立石、西立石、青村、大畠、小田、赤屋、木吹、大川尻

2.人口等

(2022年7月1日現在)

区分 世帯数 総人口 年少人口 生産年齢人口 老年人口 高齢化率
現在(A) 343世帯 636人 16人 197人 423人 66.51%
5年前(B) 370世帯 744人 27人 292人 425人 57.12%
A-B -27世帯 -108人 -11人 -95人 -2人 1.85%
A/B 92.70% 85.48% 59.26% 67.47% 99.53% 116.43%

3.地域コミュニティ組織の有無

  • 特定非営利活動法人 ゆや棚田景観保存会(設立年月日:2006年8月1日)
  • 地域福祉推進組織 角山山坂見守り隊(設立年月日:2008年7月10日)
  • 宇津賀地区まちづくり協議会(設立年月日:2013年8月25日)
  • 津黄地域活性化協議会(設立年月日:2018年4月1日)

4.地域の夢プラン作成の有無

  • 宇津賀地区夢プラン(作成年月日:2017年12月28日)

5.生活環境の状況

行政サービス

市町支所 1 長門市宇津賀出張所(大畠)
公民館 1 門市宇津賀公民館(大畠)
駐在所 2 後畑警察官駐在所(大畠)、川尻警察官駐在所(小田)

子育て・教育

保育所
幼稚園
小学校
中学校
高等学校

医療・福祉

病院・診療所
福祉施設

生活関連

商店 4 ヤマザキショップJA(大畠)、谷村商店(東津黄)、河村商店(西立石) 吉岡商店(東立石)
ガソリンスタンド
金融機関 1 JA山口県油谷支所ATM(大畠)
郵便局 1 宇津賀郵便局(大畠)

交通機関

バス停 6 ブルーライン交通バス停について、 小田、 大川尻など6 ほかコミュニティ型乗合タクシーとして津黄、 後畑に23の停留所あり
JR駅

元気生活圏づくりに係る基本的方向

1.機能・サービスの拠点化

3つの大字を構成する12集落の中心部としては、市出張所や公民館、駐在所や郵便局が存在する大畠集落が中心となる。併せて、平成16年に閉校となった旧文洋小学校も、大畠集落に存在し、地域活動の拠点として宇津賀地区まちづくり協議会が事務所を置くほか、NPO法人ゆや棚田景観保存会がグリーンーリズムの拠点として活用している。今後は、現状の生活関運施設を維持し、かつ、旧文洋小学校付近でJA長門大津農業協同組合から管理委託を受けている農産物加工施設の活用や、旧文洋小学校を活用し健康な高齢者がその活力を維持するための地域資源を活かした特色ある健康講座を実施可能なスペースを整備する。
なお、角山においては地域を南北に分断する脊梁となる山地が存在することから、高齢者サロンの開催等にあたっては、サテライト的な施設として、「角山老人憩の家」等を活用する。また、宇津賀地区の一角となる津黄においては、現在、農村滞在型余暇活動機能整備計画書に基づいた都市農山漁村総合交流促進施設の整備等を行っており、グリーンーリズムやブルーツーリズム、農泊をはじめとする都市との交流については、この元乃隅稲成神社や龍宮の潮吹、津黄漁港の近隣に位置する施設群を本拠点とし、東後畑棚田に位置する旧文洋小学校をサブ拠点と位置付け、互いの特色を活かし、緊密な連携を行うこととする。人気の高い観光資源が位置する津黄に中核拠点を整備し、棚田に近い位置にサブ拠点を置くことで、本地区全体への都市住民の入込を促すこととする。

2.集落間のネットワークの強化

大字角山には、県道357号油谷港線沿いにバス路線があり、大川尻集落や赤屋集落、小田集落を結び、向津具地区の基幹的集落である久津までを結んでいる。しかし、路線は油谷湾沿岸を走っているため、地区の南側斜面に散居状態で点在する住居からバス停までは遠く、高齢者にとっては利便性を欠いたものとなって いる。このため、「地域福祉推進組織 角山山坂見守り隊」 では、長門市社会福祉協議会の協力と個人寄附による車両を活用した高齢者の移送サービスを、大川尻集落、赤屋集落、小田集落に木吹集落を含めたエリアにおいて、平成21年から実施している。
また、北部である大字津黄、大字後畑においては、利用者の急減から路線バスが廃止され、民間事業者に委託したコミュニティ型乗合タクシーが運行されており、復路については希望地で降車が可能になっているなど、利便性にも配慮しているところであるが、運行路線は決まっており、路線の上下に住居がある場合の停留所や降車場所からの移動に問題を残している。併せ、土日の運行が無く、こ の運行の希望もあがっている。
このため、宇津賀地域の中核となる大畠集落への交通結節の手段も今後、整備を進める必要があるが、大字角山からは、油谷地区自体の中心部に近いといった地理的状況もあるため、十分な検討が必要である。
更には、都市農山漁村交流による地域振興の観点から、津黄地区に置く中核拠点からの地区内全体への回遊を目指し、必要となる交通網の検討と、インフラ整備についての協議も進めていく。

3.地域コミュニティ組織の育成

宇津賀地区まちづくり協議会が、大字津黄、大字後畑、大字角山の 12集落の合
意形成により、平成25年8月25日に設立され、NPO法人ゆや棚田景観保存会、角山山坂見守り隊、JA長門大津や山口県漁協、宇津賀郵便局や地域の消防団など22の地域団体の参画の下、住民自治による地域づくりの活動を、市の実施する集落機能再生事業を活用しながら実施している。
宇津賀地区は高齢化率も高く、集落点検の実施などが必要なため、国の制度である集落支援員を配置し、地域の見守り活動などを行っている。
今後は、協議会部会が本格的なコミュニテイビジネス開始のために組織化された「竹炭生産グルー プ」、地域女性の有志で構成され受託の農産物加工施設を運用 する 「うつか工房」、NPO法人ゆや棚田景観保存会の受入により宇津賀地区で活動する地域おこし協力隊の意見も取り入れながら、協議会が具体的活動目標とする①地域住民の生活課題の把握、②まちづくり先進地の視察、③まちづくり講演 会の開催、④妙見山展望公園の景観保全とイベント開催、⑤海岸清掃活動の実施、 ⑥竹炭、竹酢液などコミュニテイビジネスヘのトライアル、⑦宇津賀ふるさとまつりの開催、⑧高齢者サロンの実施などを行っていく。
また、都市農山漁村総合交流促進施設の運営については、地域内経済循環を考え、地域内で新たに構成される「津黄地域活性化協議会」がその一部を担うことを検討されており、地域雇用、特に高齢者や女性の活躍の場を創造する意味から も、支援を行っていく。

4.地域産業の振興と新たなビジネスづくり

前述のとおり、地区内には、津黄、立石といった日本海に面する漁港を有し、山地を挟んだ南北には、それぞれ日本海、油谷湾を眼下に見下ろす美しい棚田が広がっており、地域の特色ある農林水産物の生産が行われている。しかし、生産性や産品の輸送性がネックとなり、離職者が多く、過疎化、少子高齢化が著しい状況を生んでいる。
こうした現状にあって、宇津賀地区まちづくり協議会では、耕作放棄地に繁茂し、通行視認の妨げとなっている孟宗竹を伐採し、竹炭と竹酢液の製造を行うこ とで、地域課題を解決する取組を平成26年度から開始している。
また、東後畑の棚田においては、現在、自然栽培米の生産実験が行われており、無肥料、無農薬の米の生産が実施されているところで、白おくらなどの生産とあわせ、新たな農業の取組も開始されているところである。
当地区では、平成31年に全国棚田サミットが行われる予定であり、こうした取組を拡げ、耕作放棄地の解消につなげる。
あわせて、現在、進められている県内農業協同組合の統一にあわせ、JA長門大津農業組合で進められている施設の統合計画の中で、農産物加工施設の運営が地域に委託されたことを契機として発足した「うつか工房」では、地域女性を核として、地域産品の加工・販売を行うことで、新たなビジネスづくりに取り組む こととする。この販路を、地区内では、旧文洋小学校やヤマザキショップJA、更に津黄地区の都市農山漁村総合交流促進施設、角山の古民家レストランなどに求めることで、地域産業振興を狙う。更に、地区外では、本市の仙崎に整備が進められている道の駅「センザキッチン」での販売や、湯本地区開発計画により将来運営が予定されている販売所への出品も検討する。
こうした取組については、宇津賀地区生産物の統一されたイメージを発信し、購買者に定着させる必要があり、学域連携によるブランディングのための活動を積極的に進める。

5.都市部からの移住・定住の促進

当地区は、日本海と油谷湾に面し、中央には脊梁となる山地が存在、美しい棚田景観や、元乃隅稲成神社、立石観音など観光資源にも恵まれている。ただし、 一様に道路環境は悪く、車両通行について利便性が良いとはいえない。
こうした環境下にあって、トレイルコースやシティバイクやマウンテンバイクの利用可能なサイクルコースの設定や、体験型農圏づくりなどにより、棚田を活用したいわゆる「半農半x」といわれる移住者、定住者の確保対策を進めていく。
あわせて、観光・都市農山漁村交流の事情に見合った道路改良も進めることとし、内外へ住環境の良さを発信する。
既に、当地区や近隣景勝地を活用した、マラソンイベントやサイクルイベントが実施されており、今後も地域おこし協力隊を中心に当地区の特色を活かしたトレイルイベントを企画していく。
現在も、津黄、後畑、角山には、それぞれ当地区の環境に魅せられた都市部からの移住者が居住しており、その意見も取り入れながら定住の促進を目指す。
更に、複数の閉校校舎を移住·定住の拠点として活用していく。

元気生活圏づくりの主な取組

  • 廃校施設を活用した移住・定住拠点施設の整備
    (実施主体等:長門市、NPO法人ゆや棚田景観保存会)
  • 地域資源を活用した商品開発トライアル(竹の炭、竹酢液、小米を活用した米粉、ハーブの商品化等)
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会)
  • 商品開発に当たっての統一されたブランディングイメージ開発
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、長門市)
  • 開発商品の販路拡大
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、長門市)
  • 景勝地の景観保全活動(耕作放棄地の耕起・植栽等)
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、NPO法人ゆや棚田景観保存会、長門市)
  • 高齢者でも可能な、負担の少ない新たな農作物の生産トライアル
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、長門市)
  • 高齢者の健康寿命を延ばすためのサロン活動の充実
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協 議会、角山山坂見守り隊)
  • 市外の子どもなどを対象とした四季折々の体験交流事業の展開
    (実施主体等:NPO法人ゆや棚田景観保存会)
  • 生産者と連携した「長州ながと和牛」の地域内外発信
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、長門市)
  • ウォーキング、サイクリング等のルート開設と、案内版設置、及びそれらの環境保全活動
    (実施主体等:NPO法人ゆや棚田景観保存会、長門市)
  • 地域の農林水産物及び加工品の販売所開設と関連施設整備
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、津黄地域活性化協議会(予定)、長門市)
  • 耕作放棄地を活用した体験型農園づくりなどによる、農業体験ツアーの実施
    (実施主体等:NPO法人ゆや棚田景観保存会)
  • 耕作放棄地の復田にむけた家畜活用手法の検討
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会)
  • 市内農泊の拡大を図るための受入組織の体制の確立
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、NPO法人ゆや棚田景観保存会、津黄地域活性化協議会(予定)、長門市)
  • 高齢者の移送サービスの充実
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、角山山坂見守り隊 長門市)
  • 自然景観や地域資源を活用したイベントの企画
    (実施主体等:宇津賀地区まちづくり協議会、NPO法人ゆや棚田景観保存会、長門市)